
今日、立川市で90歳の母親と60歳の娘が
孤独死していたというニュースを見た。
立川市役所には
“最近二人の姿をみることもなく、自治会費も滞納されている”
という報告があった。
にもかかわらず、
立川市役所の関係者が、その二人のお宅を尋ねたところ、
中から応答もなく、異臭もしなかったので、
そのまま何もせず帰ったとのこと。
北海道でも
老夫婦の孤独死があり、
妻が病死し、認知症の夫も凍死したと思われると
ニュースでは伝えていた。
私の両親は二人共、現在80歳である。
先日私が実家に帰った日、
いつもは両親の寝室のある1階の客間で寝ていたのだが
何故か私はその日、
2階の元の自室で寝ていた。
早朝5時過ぎ、
トイレに行きたくなって目が覚め、
1階のトイレまで階段を降りていった。
階段を降りていくと、
父が何か話しかけている声がする。
たまたま両親の寝室のドアが開いていたので覗くと、
父がベットから起き上がって
隣のベッドの母に話しかけていた。
ふと母を見ると、
母は眠っていた。
父に“どうしたの?”と話しかけ、
ふと父の手を取ったときに
ポタッと何かが私の手に落ちた。
泣いているのか?と思い、
父を見上げたが泣いているのではなかった。
それは父の鼻水だった。
父の手はとても冷たく、
よく見ると父の身体はガタガタと震えていた。
“寒いの?”と聞くと“寒い”という。
すぐ隣の部屋に行けば、
エアコンはあるし、ストーブもある、
ましてや炬燵だってある。
しかし、認知症を患った父には、
いくら寒くても、
スイッチを点ければ暖かくなる、
ストーブに火を入れれば暖かくなるということが
理解できないのだ。
しかも父はおむつをしていたが、
粗相をしてしまったらしい。
そんな状態で
いくら寒いからといって
ベッドの中に入って暖をとろうとも思えなかったのだろう。
私は
とにかくエアコンのスイッチをいれ、
炬燵をつけ、
ストーブの火をつけた。
今までは抵抗があった、
(それは父にとっても抵抗があっただろう)
父のズボンを脱がせ、
おむつを取り、
新しいパンツを履かせた。
おむつを履かせる余裕もなかった。
父はそこら辺にあったシャツを1枚着ていたが、
私も父の衣類が今何処にしまわれているのかもわからないので、
目についた上着を着せた。
幸運にも
おむつ以外は濡れていなかったので、
下はパジャマのズボンを履かせ、
とにかく炬燵の中に入らせた。
そしてお湯を沸かして熱いお茶を飲ませ、
ビスケットだかお菓子を食べさせた。
私がもっと度々実家に帰らないのがいけないのはわかっている。
父の認知症は夜の方が症状が現れやすく、
約3時間おきに、父は眠りから覚め、トイレに行く。
母はそれに付き添って起き、
おしっこを失敗しないように
便器に座るまで誘導し、
時に失敗すれば、
その後処理をし、
などということを毎日毎晩しているのだ。
朝の5時過ぎに父が母に話しかけていたとしても、
それに気がついて目が覚めなかったとしても、
そんな疲れた母を責めることなど私には出来ない。
だが、
北海道で孤独死を、
というか、この言い方も嫌なのだが、
全くもってこの言い方が真実を表しているのだから仕方が無い。
孤独死をされたご夫婦が、
奥様が病死され、
残された認知症を患われたご主人が
北海道という寒い土地で、
私の父のように鼻水を垂らしながら、
すぐそこに、
スイッチさえ入れれば暖かくなる暖房器具があっても、
それがわからずに、
寒い寒いとブルブルと震えて凍死されたのかと思うと、
本当にやりきれない。
だから今日の立川市役所の
90歳と60歳の親子の家を訪ねていった市役所の人間に対して思う。
“異臭もしなかったから”ってなんだよ!
それって死んでるってことが前提じゃないか。
近所の人の“二人の姿を最近まったく見ない、
自治会費も滞納してる”っていう情報まであるのに、
鍵をこじ開けてでも、
中に入るべきじゃないのか!!
そうしなければ助けられる人も、
助けられないじゃないか。
立川市役所だけの問題ではないと思うが、
その人達が訪ねていったときに、
布団から起き上がろうとしていたとか、
起き上がれなくて、助けの声を発していたのか、
それとも、それさえ分からずに、
ただただ、ドアフォンのチャイムの音を聴いていたのか。
そう思うとたまらない。
孤独死だって、認知症だって、
誰の身の上にも平等に起きうることなのだ。
あなたの親がそうだったら?
もっと想像力を働かせて欲しい。
それとも現在の日本は
皆、年老いた両親と同居できていて、
両親の面倒を皆出来ている国なんだろうか?